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子供の頃に住んでいた地方では、
晴天のとき、人々は「今日は天気だなあ」と言っていました。

そのことを、不思議に思っていました。

天気というのは、その下に晴れや曇りや雨や雪や雷を含む
カテゴリーそのものです。

天気」という言葉が具体的な空模様を指すということは
何か変な気がしました。

けれども、みんながあまりにも自然に使うので
その言い方が好きになりました。


授業参観の時に天気について聞かれた同級生が
今日は天気です」と元気よく答え、先生が困っていたのを
覚えています。

一応学校の授業ですから、正解は「晴れ」でなければ
ならないわけですが、その場に居合わせた全員が
今日は天気です」という文の意味を完全に理解し、
しかもそちらのほうが自然な表現になっていたわけですから。

……


さて、時は流れ、或る時私はマルクスを読んでいました。

資本論』だったか、それに先立つ『経済学批判』だったか
忘れましたが、貨幣について論じているところです。

それによれば、
貨幣は具体的な商品そのものではないのだけれど、
具体的な商品と交換が可能である。


これはあたかも
ライオンや虎やウサギといった具体的な動物に交じって
「動物」という名の動物がいるようなものではないか、

というのです。

これを読んだとき、私が思い出したのは天気の話です。

天気」という天気がありうるのだから、単なる比喩としてではなく、
動物」という動物がいてもいいのではないかと思ったのでした。

……

さらに時は流れ、私はレトリックに関する本を読んでいました。

詳細は省きますが、文彩では次の三つが有名です。
すなわち、隠喩(メタファー)、換喩(メトニミー)、
そして提喩(シネクドキー)


シネクドキーについてはあまり知らなかったので
興味深く読んだのですが、それによると
提喩とは次のようなものです。

花見に行く」といいます。
けれども、ここで見に行こうとしているのは決して
チューリップではなく、桜に決まっています
この場合、花というカテゴリー(類)がその中に含まれる
桜という個物を表す効果を持っています。

また「ご飯を食べる」といいます。
けれども、ではスパゲッティーを食べたらご飯を食べたことに
ならないかというと、そんなことはありませんよね。
この場合、ご飯(=米を炊いたもの)という個物がその上位の
昼食(のとき食べるもの)というカテゴリー(類)を表すもの
となっているのです。

個物が類を表したり、類が個物を表したりすることがある。
こういう階層の意図的な上り下りが、レトリカルな効果を
生み出しています。

ここでも、やはり私が思い出したのは「天気」の話でした。
今日は天気です」というのは前者のタイプの
シネクドキーだったわけですね。

すると、ではマルクスが貨幣を喩えた、
「動物」という動物というのは何なのでしょうか。


うーむ。難しい。
暇なときにじっくり考えてみたいところです。


【2010/02/25 18:29】 コメント(0) | トラックバック(0)

カテゴリ:才女の品格
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